わたしと「昔ながら」。

MY SHIOKARA
STORY Vol.4
「この塩⾟は、飽きのこない味。純⽶酒によく合います」

「この塩⾟は、飽きのこない味。
純⽶酒によく合います」

⼭形県⼭形市
純⽶酒専⾨店 La Jomon
熊⾕太郎さん

“⽇本酒に合う塩⾟”として「昔ながらの濃厚熟成塩⾟」を推薦して、たくさん売ってくれている純⽶酒専⾨店があります。
オーナーである熊⾕さんは、酒造りの職⼈である蔵⼈(くらびと)を経て店を開業し、純⽶酒プロデューサーとしても活躍されている⽅。そんな熊⾕さんに「昔ながら」をなぜ売ろうと思ったのか?塩⾟が⽇本酒に合う理由、塩⾟に合うおすすめの純⽶酒を教えていただきました。

「昔ながら」を
うちの店で売りたい!

店では、私がお薦めする純⽶酒とともに酒に合うつまみも紹介してるんですけど、やはり地元の⼭形や出⾝地である気仙沼の美味しいものも紹介したいなと思って揃えています。
「昔ながらの濃厚熟成塩⾟」は、気仙沼出⾝なので以前から知ってはいたんですが、売ってる店がわからず、ずっと⾷べたことがありませんでした。
⼀昨年⾒つけて、実際に⾷べたら本当に美味しくて。お酒とよく合うんですよ。それで、すぐに波座さんのTwitterにダイレクトメッセージを送って「うちで売らせてください」とお願いしました。
店内を⾒ていただくとわかると思うんですけど、商品は絞ってるんですよね。
うちは美味しくないと売りません。お客様には「ここにあるものは間違いない」と思っていただきたいですから。

添加物の味がしない
「昔ながら」は飽きない。

気仙沼出⾝なので、塩⾟はけっこう⾷べるんですけど、よくある塩⾟は添加物の味ばかりする感じがするんですよね、イカそのもの味と⾔うより。
「昔ながら」は、添加物の味が全然しません。⾷べてみて、この美味しさは間違いないと思いましたね。
「これだと⼦どもも⾷べられる」とおっしゃるお客様もいます。他の塩⾟とは全然違いますよ。
⾷品は、やっぱり添加物が⼊ってない、少ないっていうのがまず⼤事です。いくら美味しくてもね。
「昔ながら」は、「飽きない」ということが⼤きいですよね。なんか美味しすぎるものって、はっきり⾔って続かないんですよ。お酒でも何でもそうなんですけど。「昔ながら」は旨いんですけど、「飽きずに⾷べられる塩⾟」だと思います。

酒を造る蔵⼈を経て、
純⽶酒の専⾨店を開業。

私が就職したのは1990年代でバブルがはじけて間もない頃でした。就職はしたものの、⾃分のやりがいは何だろうと考え始め、⼿に職をつけたいと思うようになって。その時、⾃分が⼀番好きなものが⽇本酒だったんですよ。
当時は酒造りを⽬指す⼈も少なかったんですが、酒の世界に⾶び込みました。社会⼈を3年経験した後、東京農業⼤学短期⼤学の醸造学科に⼊り直したんですよ。それが酒造りのスタートですね。
以来3つの蔵を渡り歩き、計18季の酒造りを経験しながら、2008年から冬は蔵⼈(くらびと)をやり、春から秋にかけては酒の⼩売店を経営するスタイルになりました。
この店のすぐ近くにLa Jomonの前⾝の「正酒屋六根浄(せいしゅやろっこんじょう)」という店を開業しました。⾃分が旨いと思う酒をお客様に⼿渡しで届けたいという思いからでした。その店舗は、今もテイスティングルームとして使っています。
開業当時は、⽇本酒が先細りして⾏きかねない状況で、使命感がありました。⾃分が旨いと思う酒が市場にあまり無かったですからね。
「これが本当に旨い酒だよ」ということを、⾃らプロデュースした純⽶酒「六根浄」で⽰したかったんですよね。「六根浄」を⽇本酒業界のグリニッジ天⽂台みたいな⽴ち位置にしたい。そのくらいの気持ちで始めました。

塩⾟の塩味(えんみ)が、
相乗効果で酒を旨くする。

塩⾟とお酒の相性が良い理由は、お酒に無い味覚である「塩味(えんみ)」にある気がします。
その塩気がちょっと加わることで、⽇本酒⾃体も旨く感じるんだと思います。塩⾟と⽇本酒で補完効果と相乗効果があるんだと思いますね。
ワインなんかだと、銘柄によってはバッティングして⽣臭く感じかねないところが、⽇本酒となら味わいをうまく広げてくれる気がしますね。

「昔ながら」の濃厚な味は、
純⽶酒とよく合う。

「昔ながら」の濃厚な味は、純⽶酒にはとくによく合いますね。純⽶酒の酸味やコクと、この濃い味がちょうど合う。逆に、他の酒だと味が負けちゃうんじゃないですか。
「昔ながら」に合う銘柄ですか?
今の時期なら、「シン・ナヌカ」ですね。私がプロデュースしている⼭廃純⽶酒です。この酒は、旨いですよ。

最近のお気に⼊りは、
塩⾟に、えごま油。

塩⾟を⾷べる時は、ジャガイモの上にバターを載せて⾷べるのが好きですね。そして、もちろん⽇本酒ですよね(笑)。あとは、味変ですね。
「この塩⾟は飽きない」とは⾔いましたが、少しずつ味を変化させると、もっと⾷べられる。例えば、⼀味唐⾟⼦を振ったり。
最近、美味しいことに気づいたのは、えごま油をかける⾷べ⽅です。健康効果があるんじゃないかなと思ってやってみたら、これが美味しいんですよ。
えごまってクセがあるじゃないですか。塩⾟にもやっぱりクセがある。クセがある同⼠って意外と合うんですよ。だまされたと思って試してください。
⾺刺しにごま油をかけて⾷べると美味しいじゃないですか。あんな感じで、塩⾟にえごま油。おすすめです。

⻘唐⾟⼦⼊りの
「昔ながら」も売りたい。

⻘唐⾟⼦⼊りの「昔ながら」、これも美味しいですよね。波座さんの⼯場の⾃動販売機で買って⾷べてみたら、「これも美味しいな」と思って。波座さんに「これもぜひ売らせてください」って連絡したら、「今のところは直販でしか売ってません」なんて、つれないことおっしゃるんですよ(笑)

波座・朝⽥:お問い合わせいただいた時には⽣産量のこともあって、そういうお返事をしてしまったんですけど、⻘唐⾟⼦⼊りの「昔ながら」も熊⾕さんにお願いしようと思って今⽇は伺いました。
⻘唐⾟⼦⼊りの「昔ながら」は、発売以来⼈気で、売り切れになるほどです。
それで今は、通販サイトと⼯場の⾃販機でしか売ってないんです。

そうなんですか。それをLa Jomonでも。

朝⽥:熊⾕さんのような信頼できる⽅で、ちゃんとした売り⽅をされているお店なら安⼼してお任せできます。こちらこそ、ありがたいです。

(現在は、青唐辛子入りの「昔ながら」も販売していただいています。販売初日は、即日完売だったそうです)

中国産のイカも使⽤する
理由が聞けて安⼼した。

気仙沼出⾝の私としては、波座さんに気仙沼でこういう良い商品を造ってもらっていることには感謝しかないですよ。良いものを出し続けてもらいたいです。
1点だけ気になっているのが、原材料名に「いか(中国⼜は国産)」と表⽰されていることなんです。国内産のイカでなんとかならないものかと。

朝⽥:我々も、本当は国産のイカだけにしたいんです。ただ品質を重視すると、国産のイカだけでは良いものが揃わないんです。
中国産も今は価格が国産と変わらないぐらいになっているんですけど、品質を⽐べた時に中国のイカがすごく良いんです。

そういうことでしたか。
その説明を聞くまでは、この「中国産」ってどういうことだろうと不思議に思っていました。

朝⽥:今イカがよく獲れているのは北方海域なのですが、そこで獲れたイカが中国で水揚げされると「中国産」になる。それだけなんですね。
産地に関係なく、うちが仕⼊れているイカは、すごく質の良いものです。

わかりました。
それを聞いて安⼼しました。

取材を終えて。
波座・朝田慶太

「昔ながら」の販売をお任せして、本当に良かったです。

熊⾕さんから「塩⾟を売らせてほしい」とご連絡をいただいた時は驚きました。⼩売店の⽅から話が来ることは珍しいんです。
そんなご縁で売っていただくようになったら、いっぱい売ってくださるので、また驚きました。
熊⾕さんの⼈柄に触れるたびに、お客様は熊⾕さんの話を聞きたくてお店まで⾜を運ばれるんだろうなと感じています。
⽇本酒を⼼から愛する専⾨家の⽅に「昔ながら」を⾼く評価していただき、しかもたくさん売っていただいていることには感謝しかありません。今後とも、どうぞよろしくお願いします。

取材を終えて。

純⽶酒専⾨店 La Jomon

店名の由来は、⽇本の発酵⽂化のルーツである「縄⽂」。海外へ発信していきたいという想いからフランス語の定冠詞「La」をつけて「La Jomon(らじょうもん)」と名付けたという。⾃らプロデュースする純⽶酒のほか、⽇本各地の厳選された純⽶酒を徹底した冷蔵管理のもとに販売。通常では⼿に⼊りにくい銘酒を取り揃えていることから、県を越えて⾜を運ぶお客様が絶えない。通販サイト・自販機以外で、青唐辛子入りの「昔ながら」が買える唯一のお店でもある。店舗の周囲は四季折々の美しい⾃然に恵まれ、散策にも最適。

シン・ナヌカ

熊⾕さんが⾃らプロデュースする⼭廃純⽶酒「ナヌカ」シリーズ。熊⾕さんの⼤胆な発想で、⼭形の3つの酒蔵の純⽶酒をブレンドするという通常ではありえない逸品。「シン・ナヌカ」は、シリーズ第4弾として「シン」を冠する、今年の⾃信作。味わいは爽快旨⼝。熊⾕さんいわく「これほどハイスペックなブレンド酒はない」とのこと。